転塾のラストチャンス?5年生2学期の過ごし方

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長い夏休みが終われば、2学期です。気持ちを新たに一層勉強に励んでいきたいところですが、計画や目標がしっかりしていないと、休みモードから切り替えられず、だれてしまうこともあります。
それでは、志望校合格のためには、2学期はどんなことが必要なのでしょう。学年別に、具体的な勉強法や親がすべきサポートを紹介します。本記事は5年生編です。

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2学期とは

2学期の考え方

受験期での位置

5年生の2学期は、中学受験の折り返し地点に位置します。
肉体的、精神的に大きく成長を遂げる時期ですが、授業難度があがってきて、今までのように全てを網羅できなくなる子が増えます。論理的に考えるという受験勉強の解き方にシフトできず、成績が下がってしまうこともあるかもしれません。
また、塾は本番が迫る6年生の指導にウェイトを置きますので、5年生のフォローは手薄になりがちです。そのため5年生は先生に自ら質問をする、やらなければいけないことに順位付けをするなど、要領の良い勉強法を覚えていく必要があります。

こういったことから、5年生の2学期は受験の「最初の山場」であると言えるでしょう。

2学期のスケジュール

「6年生になってから」ではどうしても出遅れてしまいますので、そろそろ具体的な志望校を考え始めなくてはいけません。
気になる学校の文化祭などに行って、情報を集めることは4年生の時と同じですが、5年生はさらにモチベーションを高めるという意味合いが出てきます。
目標が絞れている人も絞れていない人も、「どうしてもこの学校に行きたい!」と強く思える何か(立派な校舎、かわいい制服、素晴らしい先輩、熱い学園祭など…)を、2学期中に見つけたいものです。

勉強面では前述した通り、授業内容がぐっと難しくなり、入試問題も登場します。合わせて塾の学習ペースは速くなるので、計画性を持つことがこれまで以上に重要になります。
特に次の通塾の日までに宿題をさばききれないということも出てくるかもしれないので、短期計画にも気をつけましょう。

さらに詳しいスケジュールについては、「中学受験のスケジュール」をご覧ください。

体調とメンタル面

本格的な受験勉強へのターニングポイントに位置するこの時期は、同時に中だるみやスランプに陥りがちな時期でもあります。
塾での勉強が難しくなってきて、肉体的・精神的に限界に近いようでしたら、クラスを落とすことや、転塾の可能性も含めて、塾と相談しましょう。
特に転塾については、新しい塾への慣れに必要な期間やカリキュラムの違いを考えると、かなりラストチャンスに近いです。
クラスを落とす場合については、子どもにもプライドがありますので嫌がるかもしれませんが、真に目指すところは特進クラスではなく、志望校の合格です。クラスは勉強の要領を掴んでから、再度上がっていけば良いので、その子にあった学びの環境を整えてあげましょう。

また、大量の宿題をこなそうとして睡眠不足になるなど、学習面の変化が体調にも影響してくる場合があります。
頑張っている証拠だからと放置していると、睡眠不足→体調を崩す→風邪をこじらせる→塾を休む→勉強してない単元が出る…という悪いサイクルに引き込まれてしまいます。
6年生にもなると、自分の体調や宿題の辛さを自己申告できる子が多いのですが、5年生ではまだそういった変化に慣れておらず、プライドや遠慮から言い出せずに状況を悪化させてしまうこともままありますので、注意しましょう。

2学期に必要なこと

塾での成績を振り返り、現行の勉強スタイルがしっかり機能しているかチェックしましょう。点数が十分にとれていなかったり、伸び悩んでいるようならば、塾か学習法がその子のタイプに合っていない可能性があります。
「宿題がいつもやりきれない=その塾に向いていない」という訳ではありませんが、どうすべきか迷ったら塾に相談しましょう。

2学期からの学習内容は、例えば算数なら「比」や「速さ」など難しい単元が盛りだくさんです。
例えば、「復習テストで苦手科目の偏差値50を超える」など、具体的な目標をたて、それをクリアすることでモチベーションを上げるようにしましょう。ここでのポイントは、努力すれば到達できそうなラインを設定することです。目標が簡単すぎるとやりがいがなく、難しすぎると意欲を失うので、達成感を持たせてあげられるようにすることがポイントです。

難しい単元を乗り越えるには、何と言っても反復練習を重ねることが効果的です。
例えば短時間でも、漢字の書き取りや計算練習は毎日、算数の一行問題などもできるだけ勉強する回数を増やすことを重視した方が良いでしょう。
特に算数は、繰り返すことで解法を十分に体に染み込ませていないと、成績が下降するケースも多いです。
5年生はまだ受験に対しての動機付けが十分にできていないため、反復を嫌がりますが、今のうちに積み重ねておかないと応用問題で手こずることになります。 修行期間のつもりで、毎日10分でも良いので「やること」を目標に、頑張ってください。

精神面では、前述の反復練習へのモチベーションの低下から「ちゃんとやってる」「やってない」の言い合いになって、親子バトルが勃発しやすい時期でもあります。
イライラしすぎないことも重要です。

勉強時間の目安

勉強は時間だけでなく集中の深さも考えなくては意味がありません。
それでもあえてメルクマールを用意するとなると、5年生では「週12時間」程度が目安になるかもしれません。
ただし、本人の資質や難関~中堅まで、それぞれ目指す学校によっても、望ましい勉強時間は変わってきます。この12時間というのはあくまで参考値として考えていただいて、その時間を確保することよりも、質の高い勉強をどうすれば良いかというところを追求して欲しいです。

2学期の動き

勉強法

国語

塾のテキストや模試の問題文が、そろそろ難しくなってきます。粘り強く読む練習をしましょう。
苦手だなと思う文種、特に苦しむ子が多い論説文に対しては、過去問を解くのではなく問題文をひたすら読む「過去問読書」も、「中学受験の文章」を読み慣れるためにはオススメです。
同時に、読むスピードも意識するようにしてください。具体的には、大人が普通に読むスピード(600字/分)の、半分以上のスピードは欲しいところです。 そのためには、文章を読むとき「時間への意識を持つこと」と「集中力をどれだけ持続できるか」がポイントとなります。一つの問題を親と子で同時に読んでみて、速度感を掴みやすくするのも良いでしょう。

また、これまで培ってきた語彙力は十分と言えるでしょうか?「模試の漢字の書き取りが30%以上出来ない」「B4の問題文で知らない言葉が3つ以上(注釈があるものを除く)ある」などに当てはまったら、かなり危ない状態です。
語彙力は国語の問題を解くための根幹であるので、ここが抜けていると、どんなに演習を積んでもあまり意味がありません。この時期ならまだ間に合いますので、すぐに言葉の勉強を行いましょう。

算数

2学期後半に出てくる「比」は要注意の単元です。比自体が難しいのももちろんですが、他の単元の問題を解くときに使うツールでもありますので、ここでつまずくと後が苦しくなるのは必然的です。
つまり「比がわからないと受からない」と言っても過言ではありませんので、最優先の課題として徹底的にマスターしましょう。

特に比を使った「速さ」や「平面図形」の単元は実際の試験で頻出します。迷うことなく解けるようにしたいところです。
そのためには反復練習とともに、比の考え方も使いながら、「なぜそうするのか?」「なぜそうなるのか?」を明確に意識した学習が必要でしょう。

理科

応用問題や入試問題をこの時点で、それほど強く意識する必要はありません。4年生の復習のつもりで塾の授業に集中してください。
自宅でも再度復習して、基礎を徹底的に培うことを優先しましょう。
単に知識を詰め込むのではく、周辺の知識も含めて体系的に覚えることを心がけてください。知識を発展させて覚えるようなイメージです。

また学校での理科の授業、特に実験は塾で行うことは難しいため、貴重な実体験の場になります。本番の試験でも、イメージが湧きやすくなるでしょう。
実験以外のところも、塾と家とに加え、学校で反復学習することで身につきます。「学校の授業は受験にはあまり関係ない」と軽視するのではなく、積極的に参加しましょう。

社会

理科同様に、単に知識を詰め込むのではなく、周辺の知識と連動させながら学んでいきましょう。
例えば歴史を学んでいるとき、全国の都道府県の位置や形、名称が頭に入っていたら、その時代の出来事がどこで起こったか、政治の中心地がどこなのかが、頭の中ですっとビジュアルで把握できるでしょう。逆に地理を学んでいるときに、「ここは歴史で勉強したあの事件が起きた場所だ」と思い返すこともあると思います。
このように体系的な学習ができていると、多岐にわたる知識を忘れにくくなるのです。 なお、歴史を時代の流れとして捉えるためには、「マンガ日本史」などを利用し、大まかな変遷をビジュアルで覚えてしまうのも1つの方法でしょう。
子どもにとっても勉強という感覚が少ないため、息抜きを兼ねて楽しく学べるのもメリットです。

親のサポート

学習サポート

論理性が出てくる時期なので、4年生に引き続き、ある程度抽象的な言葉や難しい言葉を家庭内の会話に用いるようにしましょう。
意味がわからなければその都度教えてあげるなど、さりげなくサポートすることで、語彙力や読解力を間接的に養成します。

直接的な学習サポートについては、反抗期が始まっている子どもも多いので、学習態度についてアドバイスなどをしても改めないなど、手こずることもあるでしょう。
どうしてもらちが明かない時は、塾の先生や家庭教師などの第三者を絡めるのも1つの方法です。
子どもは親の指示や注意はあまり聞きませんが、同じことでも尊敬している人に言われると、態度ががらっと変わります。信頼できる指導者を見つけておくと良いでしょう。
なお、子どもが先生や塾を甘く見る原因となりますので、先生の揚げ足をとるようなことを言うのに対して「あの先生はちょっとね…」など、親が同調するのはNGです。
物足りないと思った時は、口は出さずに先生を変えるなどの行動に移しましょう。

一方で、子どもの先生自慢には、「先生はやっぱりすごいね」などと返し、親子でファンになると、子どもの憧れだけでなく先生自身のモチベーションも高まります。
教える方・教わる方が、お互いにやる気を持って学習に挑める非常に良いサイクルに入れるので、プラスの感情については育てていくことがオススメです。

体調とメンタル管理

子どもの疲れ具合などの健康状態に加え、やる気や気力などの精神状態もよく観察しましょう。
具体的には、覇気がない様子や不機嫌な顔つきをしていないかなどです。夏休み明けで疲れているのはどの学年も同じですが、5年生は精神的に大きな成長を遂げるために、気分の浮き沈みも激しい時期なので、特に気を配ってあげる必要があります。

また塾の学習面から見ると、問題が難しくなったり、宿題が多くなったりするなどの変化があるのもこの時期です。
とはいえ、子どもからはなかなか言い出せないので、「最近どう?」と声をかけたり、宿題の量が適正であるかをチェックし、こなせていない場合は塾に相談するなどのアクションを、親の方から起こしてあげましょう。

情報収集

2学期にも、イベント(講演会、合同学校説明会、学校説明会、文化祭など)が開催され、募集要項・パンフレットの配布なども行われています。
6年生になるとあまり時間が取れませんので、5年生のこの時期こそ情報収集の一番良いタイミングだと思ってください。
第一志望校だけでなく、受験予定の学校はできるだけ説明会などに行き、得られる情報はできるだけたくさん入手するようにしましょう。一つの情報だけでなく複数を組み合わせ、判断すべきです。

まずは譲れないポイントにそぐう学校をピックアップし、学校ごとにそのポイントに関する数値や特色などを具体化するという手順を踏むと、子どもにとって良い学校であるかが、比較もしやすくわかりやすいです。

例:
Cちゃん:英語に非常に強い興味がある。将来は国際的な仕事に就きたくて、私立中高でそのための力を養いたい。

  • 英語に力を入れている中学・高校を探す

X中学、Y中学、Z中学が候補に上がる。

  • 具体的な実績などをチェック

英語のカリキュラム、ネイティブの数、英検合格者の数、海外の大学の入学者の数など。

  • 比較・検討

海外大学入学者はX中が最も多いが、帰国子女数も最も多い。対して英検1級、準1級合格者やネイティブ教師の数は、Y中が突出して多かった。

しかし、説明会で質問してみると、X中の海外大進学者は実はほぼ帰国子女の実績。帰国子女ではないCちゃんは、基礎から英語を身につけようと思い、第一志望をY中に決定。

塾との連携

6年生に向けての準備をするためにも、夏期講習を通して見えてきたその子の弱点や、具体的な受験校選びについて、親御さんが塾に相談・連携することも大切です。
4年生と同じく、相談はなるべく具体的に行いましょう。

例えば、お子さんが算数でケアレスミスが多いという悩みがあったとしましょう。この時、「どうしたらケアレスミスを無くせるか」という漠然とした相談だと、「しっかり問題を読む」「しっかり計算する」という漠然とした答えが返ってきがちです。
そうではなく、答案用紙等を持参して、実際にミスしているところを示しながら質問すると、「字が汚くて写し間違えている」とか「分数の約分で間違えている」などという見解が出てきやすいでしょう。そうしたら、「ではそれはどうしたら直せるのか」とさらに質問でき、問題解決に大きくつながっていくのです。

塾と相談する前に、何を相談すべきか(子どもが何を聞いて欲しいかも含め)子どもとしっかり打ち合わせすることも必要です。

まとめ

以上が2学期の過ごし方のポイントです。勉強の難度、そして自身の精神面にも大きな変化が訪れる5年生は、上手くいかずに悩む場面も多くあるでしょう。親御さんは積極的に声をかけるなどして、導いてあげてください。

3ヶ月で伸ばす!中学受験 国語の記述アプリ|小泉浩明先生監修「KAKERU PLUS」

この記事の監修者

小泉浩明 (こいずみ・ひろあき)

1956年東京生まれ。平山入試研究所所長・森上教育研究所研究員。桐朋高校・慶応大学卒業後、米国にてMBA取得。現在は「小泉国語塾」の運営、執筆、教務研究を行う。著作に「必ず出てくる国語のテーマ」(ダイヤモンド社)他。

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