<学年別チェックポイントつき>中学受験のスケジュール

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中学受験に挑むには、多くの場合、年単位に及ぶ長い時間を要します。またその準備期間には、志望校の情報収集や模試、各種事務手続きなど、受験勉強以外にもやらなくてはいけないことが山積みになっています。
つまり親子ともに、スケジューリングは必須――それも、「学校関係のスケジュール」「勉強関係のスケジュール」「お金のスケジュール」など、さまざまな観点から、予定を整理していく必要があります。
本記事では、中学受験期のさまざまなチェックポイントを、時系列に沿って解説しています。

|2021 麻布過去問対策/問題文の読み方夏期講習 開催! 受講生を募集開始 開催日:8/15(日)、8/29(日)|3ヶ月で伸ばす!中学受験 国語の記述アプリ|小泉浩明先生監修「KAKERU PLUS」

大まかなスケジュール

全体のスケジュール

中学受験を考えるときは、さまざまな観点から見ていかなくてはいけません。大まかなスケジュールは下表の通りです。

ご覧になってみて、いかがでしょうか。これだけでも大変な量がありますが、例えば3校受ける場合、学校説明会や書類の提出などの回数が、最低でも3倍になります。提出日や受験日が重なる可能性もありますし、とても計画性なしには挑めません。
ただ、これだけを見て「面倒くさそう」「難しそう」などと尻込みする必要はありません。きちんと、しかも柔軟性を持ってスケジューリングすれば、お子さんの中学受験を的確にサポートすることができます。

スケジューリング

子どもが自分で、文化祭や模試の開催スケジュールなどの各種イベントや、勉強状況を落とし込んで進捗管理の計画を作り上げることは必要ですが、実際には一人だけで作るのは難しいでしょう。親子で相談しながら一緒にスケジュールを組み立てましょう。
ただし、親の一方的な押しつけは、意欲を低下させ長続きしない原因になります。ある程度親が誘導することはOKですが、最終的には子どもに自分で決定させましょう。自分が納得したことだからこそ、頑張れるのです。
スケジュールは、大計画(年間計画)、中計画(1~3か月程度の計画)、小計画(1週間の計画)の3つをたてると良いでしょう。

大計画

大計画は年間計画ということで、全体のイベントスケジュールにほぼ重なりますが、この他に各科目の成績をどこまであげるか、塾の他に問題集をやるならいつまでに仕上げるかなど、目標値を落とし込んで作りましょう。
もちろん、塾を活用しない場合は、使用する参考書や問題集、模擬試験の受験日程など、「いつ」までに「なに」を「どこまで」やるかを決める必要があります。

例えば4月に作るとしたら、「7月までに問題集を終わらせる」「10月に2校の文化祭に参加する」「11月までに模試の偏差値を55まであげる」…などです。
大計画は、予期せぬハプニングや煮詰まりがあることを勘案して、ある程度はズレを認めてあげて良いでしょう。この計画を実行するために必要となるのが、中計画であり小計画です。

中計画

中計画は、1〜3か月単位での計画です。塾に行っているなら、「次の月例テストで90点を取る」「模擬試験の偏差値を2あげる」など、具体的な目標を設定し、その達成のため、どうすべきかを考えながら作ります。
大計画とも重なる部分がありますが、期間が短いため、その期間自分がどう動いたかをすぐに反省する材料となります。
受験勉強は長期に渡るので、どうしても中だるみが生まれます。目標の設定や結果の反省など、中計画を上手に使って、緊張感を持続させることが大事です。

小計画

小計画は1週間のスケジュールです。塾、家庭、学校での学習などについて、具体的に何を何曜日の何時にやるかの計画をたてます。
机の前に座って「今日は何をやろう」ではいけません。あらかじめ決まっていることをやることで、毎日の勉強がスムーズに進んでいくのです。

なお最初は、親子ともに無理な計画を立てがちなので注意しましょう。その時々のベストな計画をたてていきましょう。

受験前

入塾

受験をしたいと思ったとき、一番に迷うのが「いつから、どの塾に行くべきか」「そもそも塾に入るべきか」という点かと思います。
一般的に、多くの中学受験生は塾に入ります。特に、塾のカリキュラムが東京・神奈川の受験が始まる2月を起点としていることを踏まえて、首都圏では4年生になる年の2月、つまり学年では3年生の2月からスタートするという家庭が多いようです。あるいは、4年生の春や1学期から自分にあった塾を検討し、入塾するケースも多くあります。

一口に4年生の1学期前後とは言っても、進級したタイミングで、学童保育の代わりに塾通いを始める子もいれば、受験を志す友達の影響を受け、GW明けから始めたいと言い出す子もおり、実際には人によってスタート時期はさまざまです。
具体的な選び方などの詳細については「塾選びのポイント」で詳しく説明していますので、ご参照ください。

なお、早めの行動に越したことはありませんが、「早すぎる塾通い」には注意が必要です。
低学年から始めればより有利になると思われるかもしれませんが、あまりにも受験に費やす期間が長いと、途中で子どもの気力が尽きてしまう可能性もあります。

一方、4年生でスタートを切るタイミングを逃したからといって、受験が不可能なわけではありません。志望校にもよりますが、遅めのスタートでも、地頭が良く、効率的な勉強ができる子なら志望校合格の可能性は十分にあります。
例えば、6年生になる年の2月(5年生の2月)からの受験勉強で、早稲田中学に合格した例がありました。
彼の場合は、前述の条件を満たし、かつかなりの速さで大量の勉強をこなしていったのでしょう。また、それまで受験勉強をしたことがないだけで、学校の勉強はしっかりやっていたのだと思われます。

なお、この例だけを聞くと、「地頭」と「勉強量」さえあればスタートの遅れは全て相殺できるように思われますが、実はその子の本命校は開成中学で、第一志望には合格出来ませんでした。
ではなぜ開成中学には受からなかったのでしょうか?それは理科・社会の対策が間に合わなかったからではないかと、想像しています。

国語は低学年から読書の習慣があるなどして語彙力が身についており、問題の解き方についても論理的に考えられる子であれば、ある程度問題演習をやれば、一定程度の成績はとれるかと思います。
しかし、中学受験の中心となる算数は、受験レベルまでもっていくためには、最短でも1年弱はかかります。当然4年生からスタートした他の子ども達も相当力を注いでいる教科ですので、基礎を抑えるだけでは足りず、できるだけたくさんの応用問題や過去問演習をこなさなくてはいけません。

国語同様に、理科と社会も学校で勉強しているから何とかなりそうなイメージがありますが、算数に時間をとられてしまう中では、どうしても知識不足・演習不足になってしまうのです。

つまり、難関~上位校を目指す子は、計画性と時間の確保が特に必要になると言えます。
また中堅校チャレンジなら遅くても大丈夫と楽観視していると、塾によっては入塾テストの点数等を理由に、「この時期からの受験は難しい」など、入塾を断られてしまう可能性もあるので気をつけましょう。

模試

模試の種類

公開模試で大きなものは、次の4種類です。

  1. サピックス
  2. 四谷大塚
  3. 日能研
  4. 首都圏模試

このうち外部生も多く受ける、模試として一般的なものは、難しいものから順に、サピックス、四谷大塚、首都圏模試でしょう。
御三家などの最上位を受験する生徒はサピックス、最上位を含めた上位から中堅を受験する生徒は四谷大塚、中堅を目指す生徒は首都圏模試を受けるのが一般的です。子どもにあった模試を選びましょう。

このすみ分けは、偏差値が母集団のレベルによって違ってくるためです。
例えば上位層が多く受ける模試で、周りが90点を取る中75点を取るのと、中間層が多く受ける模試で周りが50点をとる中75点を取るのでは、同じ点数でも、評価(偏差値)が変わってきます。
実際に開成中学校の場合、サピックスの模試では偏差値66に位置付けられているのに対し、首都圏模試では78と、10以上も離れています。
詳しくは「中学受験とは」の偏差値の項もご覧ください。

タイミング

模試は一日仕事になるので大変ですし、復習する時間も考えるとかなりの時間を食いますが、自分の今の実力を測るためには大変重要です。塾に行っていない場合、または中小の塾に行っている場合は、4~5年生の間でも、4か月に1回程度は大手の公開模試を受けるのが良いでしょう。
なお、サピックスや四谷大塚に関連している塾などは、それぞれの塾の「公開模試」を受けるので、特に意識しなくても問題はありません。

6年生になった段階では、1学期(4月、6月または7月頃)に2回、2学期に4回ほど合否の判定テストがあり、この他に学校別判定テストが2学期にあります。
少なくとも1学期の2回は学習の進み具合、そして2学期の3回(9,10,11月)は志望校選びも含めて受験したいところです。

人によっては他社の試験(例えばサピックスと四谷大塚など)を併せて受験する人もいます。
悪いことではありませんが、月に2回までにしないと時間がタイトになり過ぎるので注意しましょう。
また繰り返しにはなりますが、回数よりも、自分の志望にあった業者の模試を受験することが、正確な実力を図る意味では重要です。

春期講習・夏期講習・冬期講習

すでに塾に属している場合は、「明確な理由」が無い場合を除いて、各講習には参加すべきです。費用はかかりますが、長い休みをダレないで勉強させてくれるという非常に大きなメリットがあります。
特に夏休みは期間が長く、気候的にも辛い時期です。相当の覚悟が無ければ自分だけで勉強するのは難しいので、普段は塾に行ってないという人も、行くべきでしょう。

それでは、前述した塾に行かない「明確な理由」とはなんでしょうか?それは講座内容が、自分が勉強すべきものではない時です。
例えば、入試直前の冬休み、塾の講習が自分の得意分野をテーマにしていて、それを勉強するよりも、自宅で志望校の過去問を解きたいと思ったときなどが当てはまります。

つまり、自分でやらなくてはならないという気持ちが十分にあり、しかも何をすべきか明確に分かっているときには、塾の講習は不要になる場合があるということです。
なお、こうした判断はなかなか難しくなる場合が多いので、親子でよく相談して決めましょう。

志望校選定

志望校を決める時に気になるのは、大学受験の合格実績、偏差値、学校のカリキュラムなどでしょう。しかし、その学校の雰囲気や生徒の様子なども大いに気になると思います。
そうしたデータには表れないものを、説明会や文化祭に参加して肌で感じることができれば、受験校も自ずと決まってくることでしょう。

学校説明会

学校の説明会は、各学校が個々に行う「学校説明会」と、業者や団体が開催する「合同学校説明会」があり、それぞれ異なったメリットがあります。
参加の有無自体は直接合否に影響しませんが、直接触れる生の情報は、受験の判断材料としてはもちろん、試験攻略のためのヒントになる可能性もあり大変貴重です。

学校説明会

その名の通り、保護者や受験生を対象に各学校が自校の特色や魅力を説明する会です。開催方式は下記の例などが代表的で、いくつか組み合わせて実施されることも多いです。

  • 学校説明会

校長挨拶、学校紹介ビデオ、校風の特色と入試についての説明、中学校生活についての説明、卒業生や卒業生保護者の話など、学校についてトータルに紹介する

  • オープンキャンパス

授業やクラブ活動の体験などができる

  • 入試問題説明会

入試問題の分析と出題の意図、合否を分ける点、学習への取り組み方などの説明

この他、電話などでアポイントをとれば、個々に校舎の案内や授業見学を受け入れる学校もあります。
またユニークな取組みを行う学校もあります。例えば、東京家政大学附属女子中学校・高等学校では、スクールランチの試食会なども行うようです。
こうした学校説明会は1年間に複数回開催されることが多いですが、定員オーバーになる可能性もあるので、情報は早めに手に入れておきましょう。

  • (参考)ある学校の場合

・学校説明会 5月、9月、10月、11月
・オープンキャンパス 6月
・入試問題説明会 12月

なお、参加対象学年などが決められている場合や、来校予約が必要な場合がありますので、詳細はスケジュールと併せて、事前にネットなどで確認しましょう。

合同学校説明会

複数の学校が集まって開かれる説明会です。会場内に各学校がブースを構え、自校の紹介を行ったり、来場者の相談に応じてくれたりします。
企業や団体が主催し、大きなものでは200校近くの学校が集まる規模になります。
また「特定の地域の学校を集めて開く」「キリスト教系の学校を集めて開く」など、特色づけたものもあります。

短時間で多くの学校のパンフレットなどが手に入ることや、担当者と気軽にお話ができる点は大きなメリットです。説明会で挙手して行うにはハードルが高いような、突っ込んだ内容の相談もしやすいでしょう。
イベントということで、講演会や個別相談会などが開催される場合もあるので、そうしたところでの情報収集も大いに役立ちます。

また、今まで知らなかった素晴らしい学校を発見できる場合もあります。積極的に歩き回りましょう。
ただし、目的を持たずグルッと回ってパンフレットを集めただけで、情報を得たつもりになってはいけません。
興味のある学校はしっかり調べられるように、事前にピックアップしておきましょう。

文化祭・体育祭

文化祭や体育祭は在校生の日頃の成果の発表の場であって、学校説明会のような受験生への情報提供を主目的とした行事ではありません。
しかし、在校生との交流を図り、実情を知る機会としては、一番適していると言えるでしょう。
生徒の服装や髪型などの様子、言葉遣いや態度などを実際に目にすることで、口コミではわからない学内の雰囲気が直に感じられます。
受験生本人も「自分がこの学校に入ったら、こんな感じなのかな」と実体験できます。特に文化祭での出し物は、部活の内容も含めて、学校生活を想像しやすいものにするでしょう。

そして「どうしてもこの学校に行きたい」「このクラブに入りたい」という気持ちがモチベーションをあげて、やる気を引き出す効果もあります。
基本的に受験勉強は辛いものです。特に、基礎基本を学んでいる時期は一種の修行期間です。野球で例えると、試合どころかキャッチボールもできず、ひたすら素振りを繰り返しているようなもので、やりがいやおもしろさを感じにくく、楽しいものとは言い難いでしょう。
これを乗り切るためには、頑張る理由を作ることが必要です。親や教師、友人・ライバルからのバックアップや叱咤激励、期待、あるいは「あの子がやっているんだから、私も頑張らねば!」などの仲間意識なども有効ですが、特に目標である志望校への憧れは、非常に大きな力となります。

その気持ちを得られるのが、文化祭や体育祭です。「あの楽しかった学校に行きたい」と、モチベーションを保ち続けることができます。
そして、ある程度勉強が進んでくると、勉強自体が楽しくなってくる(少なくとも苦痛ではなくなる)時期がやってきます。

では、どの学年で行くのが良いタイミングで、何校行くべきなのでしょうか。 6年生になると週末も忙しくなるため、可能ならば早いうちから足を運ぶことをお勧めします。
志望校選定の項目でも後述しますが、早い段階から志望校が決まっていることは、モチベーションを保つ意味でも重要です。既に志望校が絞れているのであればそれらの学校の説明会に行けば良いでしょう。

受験校の決定

第一志望校

志望校を決めるにあたっては、段階を踏みましょう。
具体的には、時系列順に

  1. おおよその目標設定(中学受験開始時)
  2. 現実問題としての志望校を考え始める(5年生の冬期・3学期)
  3. 第一志望の決定(6年生の夏期・2学期)
  4. 最終決定(入試まで100日)

です。

まず「おおよその目標設定」ですが、学年が低く、まだ自分のことだという意識が薄い場合でも、中学受験を始めた時に行うべきだと思います。
たとえ現段階では成績的に少し難しいと思えても、お子さんの行きたい学校を選んで設定することがポイントです。受験までに時間があれば、実力をそこまであげることは可能です。
勉強をさせられているのではなく、自分が行きたいところに行くために頑張るのだという意識を持ってもらうことで、モチベーションの低下を防ぎます。
そして、5年生の終わり頃に、その時点での成績を考慮に入れて、「現実問題としての志望校」を考え始めると良いでしょう。

「第一志望の決定」は、6年生の夏期から2学期の初めごろに行いましょう。
これから伸びしろはあるにしても、自分の学力と目標校の難度の差は、現実的に測れるはずです。

そして第一志望校を「最終決定」するのは、入試まであと100日の時期となる場合が多いでしょう。この時期は、過去問演習や志望校判定テストにより、合否の可能性もかなり分かってきます。
難しいようであれば、ランクを1つ下げる必要があるかもしれませんし、可能性があればさらに志望をあげることもできるでしょう。

年末から1月にかけて、子ども自身の志望と成績の折り合いをつけ、出願手続きを行います。
なお、地域によって出願手続きや受験日が異なるので注意してください。
また、学校によっては受験日程や受験科目などが変わる場合もあるので、次年度の受験要項は早目に確認しておきましょう。

併願校

併願校の確定は第一志望校の決定と同時に行うのが理想ですが、やはり過去問演習や模試の成績の上下によって、年末まで迷う場合もあるでしょう。
併願校の選定では「実力相応校」の他に、

  1. 第一志望で落ち着いて受験するための「お試し受験校」
  2. 第一志望が万一落ちた場合に合格を拾うための「滑り止め校」
  3. さらに上を目指すための「チャレンジ校」

をどう設定するかが、ポイントです。
もちろん各家庭によって考え方がありますので、必ずしも全てを設定しなければいけないわけではありません。
志望校1つを受験して、後は受けずに落ちたら公立中学に進学をするというご家庭もあります。中学受験ではなく、高校受験で再チャレンジするという考え方で、これも1つの選択肢です。
ただ、その場合でも、本番で緊張しないためにお試し受験だけはしておいても良いかもしれません。

また、第一志望校を中心にして、どのような試験日程を組むかという点も着眼すべきポイントです。
受験校の当日変更」という可能性も含めて、その学校が実力相応校なのか、チャレンジ校なのか、滑り止めなのか、合格したら行くのか?あるいは距離的に行けるのか?などを検討します。

併願校はできれば、第一志望校と受験科目や内容が同じような傾向の学校を受けることが望ましいですが、そうでない場合もあり得ます。
しかし「行く気は無いorどんな学校かは知らないけど、試験内容が第一志望と似ているから」という理由だけで、選ぶことはやめましょう。
何が起こるかわからない中学受験では、その学校しか受からない場合もあります。(練習と割り切っているお試し受験は除きます)

例えば第一志望のA中学の国語は物語文しか出ないが、併願校のB中学では説明文や時には詩が出るなどする場合、ある程度勉強量が増えるのは仕方ないでしょう。
本命ではないからと軽視せずにしっかり準備し、苦手科目であればそれを克服しておくべきです。

受験校の当日変更

首都圏の受験の場合、1月中旬から本格的な受験が始まり、2月1日をピークに、2月6日ごろまでには終了します。
特に2月1、2、3日は午後受験も含めて多くの受験チャンスがありますが、少なくとも3日までには「受かったら行く」学校の合格を手にしていたいものです。
そうでないと、受験生はもちろん親もパニックになる可能性があります。

合格発表はその日に判明するものから、2日後に分かるものまで、まちまちです。
合否により、その後の受験スケジュールを変更することも、もちろんあり得ます。
例えば、同じ日の同じ時間帯に複数の学校(現実的にはおそらく2校)に出願し、前に受けた試験の合否に合わせて、受験する学校を変えていくという場合も考えられます。
またギリギリまで出願を受け付ける学校もありますので、さまざまなパターンを想定し、情報をチェックしておきましょう。

合格した学校がある場合は、並行して入学手続きを行う必要もありますし、入学金を支払う期限もあるのでかなり忙しく、スケジュール管理が難しいです。
前もって念入りに入試カレンダーを作成し、やるべきことや手順を間違えないようにしましょう。

入試

出願〜合格手続き

郵送や直接の提出で行う伝統的な出願と、ネット出願があります。
以下、それぞれの例として、ある年度のスケジュールをあげています。受付できる曜日・時間帯はあくまでも例なので、ご注意ください。

表からもわかるように、出願から入学手続きまで、1〜2週間の期間の場合が多いでしょう。
ただ繰り返しにはなりますが、これは一例にすぎませんので、自分の志望校の詳細はきちんと各学校が示している要項で確認しましょう。

首都圏の入試は、1月前半から少しずつ始まり、2/1、2/2がピークとなり6日にはほぼ終了します。
1月中の埼玉や千葉の受験から始まり、2月1日から東京、そして神奈川の学校が行うというのが定番でしたが、最近は一般に先駆けて行われる帰国子女等の受験や、受験回数の増加により、受験スケジュールにもやや変化が見られます。

また、東京都・神奈川県の私立中学入試で、2月1日が日曜日に重なった年は、一部のキリスト教系私立中学校が、「安息日」の考えなどから、2月1日に実施する入学試験を別日に変更します。

例えば、キリスト教系である女子学院が別日に変更するため、それぞれ女子御三家と名高く、例年は2月1日にしか受験を実施しない桜蔭と女子学院の両方が受験可能になるのです。
結果として併願受験のスケジュールが大きく変わってしまうため、この現象は通称「サンデーショック」と呼ばれています。
キリスト教系以外でも、サンデーショックの影響を考えて受験日を変更する学校が現れますので、注意しましょう。

ちなみに前回は2015年で、次のサンデーショックは2026年に訪れます。

受験後

入学手続き

大きく、必要書類の提出と入学金等金銭的手続きの2つに分かれます。各学校の指示に従って、不備がないよう正確に行いましょう。
合格した学校の順番によっては、入学金を二重、三重に払う場合もあり得ます。入学金を期限までに払わないと入学の権利は無くなってしまうので、注意が必要です。

学校によっては、入学金の一部の納入で入学手続きが可能であったり、入学辞退者には入学金以外の施設費を返還したりする学校もありますが、それも期限が設定されている場合が多いです。
また手続きが全て済んでいても、合格者説明会等に参加しないと、入学を辞退したものとみなす学校もあります。入学期限以外の各日程もしっかり確認しましょう。

公立校への手続き

私国立に進学することになった場合、本来進学する予定であった地元の公立中学への手続きも必要です。
これは地域によって、意思表示の方法や時期が異なるため、お住まいの自治体や小学校の先生に確認してください。

地域によって、保護者が教育委員会宛に、進学先の入学許可証のコピーなど証明書類を送付するケース、小学校の先生が手続きをしてくれるケースなどがあるようです。

入学前の準備

晴れて進学先が決まった春休み、今までの頑張りへのご褒美として思いっきり遊ぶのか、それとも中学に備えて塾に行くべきか、悩まれる家庭も多いでしょう。
実際に入学しないと勉強のペース等は掴みづらいため、体力回復も兼ねて少しゆっくりしてもいいかと思います。

また、中学入試との決別はこの時期に行うべきです。具体的には、今までの苦労をねぎらうお疲れ様会や、今後を話し合う家族会議の開催、参考書の破棄などです。
合格による慢心や不合格による自信の喪失を中学まで引きずると、いつまでも過去に囚われて成長がしづらくなってしまいます。
セレモニー的なイベントを通して、親子がお互いの努力をねぎらうとともに、気持ちを切り替えて、これから先のことを話すようにすると良いでしょう。

学年別のチェックポイント

ここまでは、中学受験の時系列に沿って大きなイベントを紹介してきました。ではそれらに向けて、子どもや親はどの時期に、どんなことをしておくと良いのでしょうか。
本項では学年別に、親と子がそれぞれ意識すべき・注意すべき点を解説します。

4年生

子どもがすべきこと

4年生は受験のスタート地点。受験勉強と学校での勉強や宿題とは、内容もかかる時間も違いますので、30分~1時間以上集中しての勉強や、1つの問題を粘り強く解くといった「受験勉強」に慣れることが大切です。
また難度の高い問題に挑むだけではなく、基礎学力も徹底的に鍛えましょう。具体的には漢字演習や計算練習などです。

学年が上がるにつれ、ゆっくり本を読む間もなくなるほど忙しくなりますので、読書習慣もつけておくと良いでしょう。
読解力や語彙力が養われ、大きなアドバンテージを得られます。

親がすべきこと

まずは、子どもに勉強する習慣を身につけさせることが大切です。場合によっては、隣にぴったりついて指導を行うトレーナーとして伴走する時間を作る必要があるかもしれません。
塾と家、双方で大人の指導を受けながら机に向かう時間が確保されると、子どもも徐々に受験勉強というものに慣れていきます。

受験勉強が習慣化し、子どもの勉強のクセやスピードなどがつかめてきたら3年間のおおよその学習計画を描き、頭に入れておくようにしましょう。これが前述の長期計画の作成案になります。

また子どもが「なぜ」と考えられるようになることも大切です。
低学年のうちから実体験を積ませ、子どもの知的好奇心を刺激するような環境を整えてあげることも効果的です。

5年生

子どもがすべきこと

4年生で身につけた勉強習慣や考え方を、さらに一段上のステージにあげることがポイントとなります。数字にすると、1~2時間以上集中して勉強できる態勢を確保することが目標となるでしょう。

また、5年生は「受験まであと1年」「だからもっと頑張らないといけない」という意識とともに、中学受験の問題を解くために必須の「論理的な考え方」が芽生え、精神的に成長する時期でもあります。
その考え方を、勉強に応用して、問題中の情報を整理し解答に落とし込むというプロセスを確立させておきたいところです。

親がすべきこと

親が主導する「親子の受験」を、本人が主導する「子親の受験」にする準備期と言えます。
子どもの勉強を見るというよりも、勉強の進度や姿勢、学力の推移をチェックして、滞っている箇所があれば手を打つ「監督」のポジションに移行することを意識する必要があります。

5年生になると勉強の難度が上がり、親が指導できる範囲がぐっと狭まってしまうため、直接指導するトレーナーの役割は、プロのノウハウを持った塾や家庭教師などに移管していきましょう。

6年生

子どもがすべきこと

いよいよ受験年である6年生では、他人事ではなく「自分事」であるという意識が必須です。
受験は自分の将来がかかっているものであり、自分がやり遂げるという主体的な気持ちに切り替えられるか否かで、ここぞという時の踏ん張りが違ってきます。

勉強については、4・5年生で培った習慣をもとに、使える時間の大部分を割いていることでしょう。長時間集中力を持って勉強に当たることは、この頃には「当然」というレベルになっていなくてはいけません。
また、特にキーポイントとなるのは6年生後半の過去問演習です。第一志望校だけでなく受ける可能性のある学校のものも解き、本番に備えましょう。

親がすべきこと

親がトレーナーから監督へ完全移行するのが、6年生です。健康面、学習面、精神面の管理とケアを総合的に行ってあげましょう。

受験料、入学金、学費などの資金については、複数合格により、想定よりも多く必要になる可能性があります。
何パターンかシミュレーションを行った上で、余裕を持った額を用意し、合格発表当日に慌てることのないようにしましょう。

過去問は当年使用を前提にしているため発行部数が少なく、人気がある学校では早く売り切れてしまう可能性もありますので、早めに購入しましょう。
首都圏では「声の教育社」や「東京学参」などが出版しています。

まとめ

以上が、受験決意から合格までの大きな流れです。
志望校合格のための長い道のりですが、進むための苦労は、我が子の成長や親子の絆も培ってくれます。焦りばかりが先走って迷ってしまわないよう、家族でよく話し合いながら、着実に進んで行きましょう。

3ヶ月で伸ばす!中学受験 国語の記述アプリ|小泉浩明先生監修「KAKERU PLUS」

この記事の監修者

小泉浩明 (こいずみ・ひろあき)

1956年東京生まれ。平山入試研究所所長・森上教育研究所研究員。桐朋高校・慶応大学卒業後、米国にてMBA取得。現在は「小泉国語塾」の運営、執筆、教務研究を行う。著作に「必ず出てくる国語のテーマ」(ダイヤモンド社)他。

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